医薬品流通業界の再編が加速

今日の医薬品業界では、製薬企業やドラッグストアの再編が加速していますが、最も再編が行われているのが医薬品卸業界です。日本医薬品卸業連合の調べによると、1992年に331社あった会社は、2006年には128社まで減少しました。

薬価引き下げが大きな契機に

そして、実質的に全国展開する4グループに収斂され、地方で存在感を示すとともに誰もが認める医薬品卸は10社程度しかありません。ここまで再編が進んだ理由は、1991年に医薬品流通のしくみが大きく変わったことが景気となり、90年代後半の薬価大幅引き下げで加速しました。

それまでの医薬品流通は、製薬企業が医薬品卸を系列化し、卸は製薬企業の指示のもと医療機関に医薬品を販売していました。たとえ卸が赤字で販売しても、後に製薬企業が補填する値引き保障制度が敷かれていたのです。

しかし、製薬企業が独占禁止法違反を起こすなど不透明な流通が各方面から非難を浴びたのを受け、1991年に建値(仕切価)制に移行し、価格交渉権は医薬品卸がもつことになったのです。その結果、卸同士の価格競争、医療機関の値引き圧力、薬価を下げられたくない製薬企業が仕切価を高く設定するなどして、医薬品卸の収益は急速に悪化していきました。

危機感を募らせた卸各社は、生き残りをかけ、規模拡大を目指しました。業界再編のさきがけとなったのは、スズケンと秋山愛生館の合併でした。業界初といっていい、この大型再編はライバル企業を震撼させました。

2000年には三星堂とクラヤ薬品、東京医薬品の3社が合併し、現在のメディセオ・パルタックホールディングスが誕生しました。過去最大級の合併は、医薬品卸が1兆円規模の超大型卸の道を歩む嚆矢となったのです。